気象集誌の電子ジャーナル化

気象集誌編集委員会 (担当:田中博)

 学術雑誌の電子ジャーナル化はアメリカでは相当前から既に開始 されており、インターネットで論文を読んだり検索できるようになっています。 気象集誌編集委員会で集誌の評価となるインパクトファクターを上げる ための議論をしたところ、Web上で集誌を公開してサーキュレーションを 上げることが一番よい方法だという結論にたどり着きました。 Webで公開すれば、読者の目に触れる機会が増え、引用される機会が 増えてインパクトファクターが上がると考えられます。 気象集誌の電子ジャーナル化は時代の要請として当然必要な緊急課題でした。 出版業者の入札条件に論文のPDF化を盛り込んで、それを Web上に掲載するサーバー探しをしているうちに、科学技術振興事業団が運営する J-STAGE というシステムを紹介されました。

 J-STAGE とは Japan Science and Technology Information Aggregator、 Electronic の頭文字からとったもので、科学技術情報発信・流通総合システムの意味です。 J-STAGEのURLは http://www.jstage.jst.go.jp/en/ で、 気象集誌のトップページは http://jmsj.jstage.jst.go.jp/en/ ですが、 学会ホームページからも辿れるようお願いしてあります。 (実際の搭載開始は2002年4月末の予定です。) ここでは、国の資金的援助を受けて、多くの学協会が発行する学術論文 の電子化を支援し、PDF化、SGML化された学術論文を無料でWeb上に公開し、 科学技術の情報交換に役立てることを目的としています。 電子ジャーナル化に必要なハードウェアーおよびソフトウェアーは すべて無料で提供されますが、掲載された雑誌は無料での一般公開が 原則になっています。

 J-STAGE ではすでに約80の学協会が雑誌の無料公開を行っていますが、 逆に言えばそのような時代の流れの中で、閲覧を有料化したり、 特殊なブラウザを用いてパスワードを持つ特定の会員にのみ閲覧を 許すようなシステムでは、人は読みに来なくなることが明白です。 以上の状況を鑑み、気象集誌編集委員会はこの度、常任理事会の承認のもと、 著者の立場を第一に考えてJ-STAGEへの加入に踏み切りました。 気象集誌に掲載される論文は、多くの人の目に触れ、読まれて初めて 意味をなします。 著者にしてみれば読まれてなんぼの論文ですから、Web上で論文が 無料公開されれば、検索にも引っかかってサーキュレーションが 格段に上がり、インパクトファクターも向上するというわけです。 ただし、完全無料化すると、ペーパーで購読しているB-会員の 特典が曖昧になりますので、当面は発行から3カ月のタイムラグを おいて論文の本文をWeb上に搭載するということを行います。 ただし、タイトルや著者、英文要旨については即刻搭載します。 ある程度の購読者の減少が予想されますが、補助金の増額と購読料や投稿料の 増加で不足額を埋め合わせることになります。 予定では、2002年の4月ころから集誌2001年1-6号がWeb上に掲載され、 発行から3カ月遅れの2002年5月に2002年1号が搭載されます。 そして、その後の購読者数の動向に注意しながら、必要ならば パスワードを設けてアクセス制限を行ったり、逆に3カ月のタイムラグを 解除するといった変更を行う予定であります。