夏季大学2012


第46回夏季大学
テーマ:北極温暖化と異常気象
日時:2012年8月5日(日)~6日(月)
場所:国立極地研究所(東京都立川市)


講義内容と時間割

■ 8月5日(日)10:00~11:30 北極域の気候変動と中高緯度への影響 山崎 孝治(北海道大学)
北極域では海氷が急激に減少するなど顕著な温暖化が起きています。 北極域で卓越する変動、温暖化増幅の要因、急激な海氷減少と大気循環変動の関係などについて解説します。 さらに北極域の変動が中高緯度へ及ぼす影響について紹介します。

11:30~13:00 北極圏の温暖化と雪氷変動 榎本 浩之(国立極地研究所)
北極圏の海氷や氷河、積雪はどのように観測されて、どのような変動が検出され、 その変化の原因についてはどのようなことがわかっているか。 逆に、変化する雪氷は大気の短期変化、長期変動にどのような影響を与えるのか、雪氷と気象の関わりを考える。

14:00~15:30 地上気温と降雪 平沢 尚彦(国立極地研究所)
高緯度の寒冷な地域では気温逆転層の形成が顕著である 。気温逆転層の有無と地上気温との関係を述べる。また、 降水量は寒冷域ほど少ないが、その少なさのために、 そしてそれが雪であるために計測精度が大きく下げられていることは一般にはあまり知られていない。 降雪量観測として我々が直面している課題と改善への取り組みを紹介する。

15:30~17:00 北極からみた「地球温暖化」の真実 堀 正岳(海洋研究開発機構)
北極域の「温暖化」はどこまで現実となっているのか?また、北極を原因とする異常寒波 などの現象ははたして今後増えるのか?限られた観測データから、科学者はこれまで何を 突き止め、何を予想するのか、検証します。

■ 8月6日(月)

10:00~11:30 極域・寒冷域の気候変動と日本の異常気象 高谷 康太郎(海洋研究開発機構)
寒冬や暖冬、または暑夏や冷夏などの日本の異常気象を考える際には、北極を中心とした 極域や寒冷域の大気循環を解明する事が重要である。その極域・寒冷域の大気循環につい て、偏西風の変動という視点を中心に、最新の知見もふまえつつ解説する。

11:30~13:00 極地の雲・エアロゾルと気候影響 塩原 匡貴(国立極地研究所)
中低緯度の雲やエアロゾルと同様、極地の大気中に存在するそれらの大気成分も地球の気候形成に影響を与える。 中低緯度の雲・エアロゾルとの対比や温室効果気体による地球温暖化との対比を通して、 極地の雲・エアロゾルの気候影響を考える。北極・南極での観測の様子や研究成果を紹介する。

14:00~15:30 国立極地研究所施設見学


■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)