夏季大学

夏季大学

日本気象学会教育と普及委員会は,最新の気象学の知識の普及を目的として,学生・大学院生,小・中・高等学校の教諭,気象予報士及び気象に興味を持っている一般の方々を対象に,毎年夏休みの時期にやや専門性の高い講座である「夏季大学」を開講しています.今年は気象庁講堂とオンラインでのハイブリッド開催となります.


第59回夏季大学

テーマ:極端化する気象と災害

日時:2025年8月9日(土)、10日(日)
開催形態:気象庁講堂(東京都港区虎ノ門3-6-9)とオンラインのハイブリッド開催.
主催:日本気象学会 教育と普及委員会
後援:(一社)日本気象予報士会 定員(予定):50名(気象庁講堂)、200名(オンライン)先着
参加費用(消費税含む):2500円 (現地参加・オンラインともに同額です)
参加費用のお振込み方法(予定):オンライン決済(クレジット決済、銀行振り込み等)
申し込みこちらからお申し込みください。
締め切り:8月4日(月) ※定員に達し次第終了します。
領収書が必要な方こちらからご登録ください。領収書の発行は夏季大学開催後、数週間後になる見込みです。

注意事項

    • 申し込みを行い、参加費を支払われた方にZoomのURLをメールでお知らせします。
    • 申し込み後、メールが届かない場合には、夏季大学事務局までお知らせください。URLなどの案内が届かない可能性があります。
    • お振込み方法の詳細は、参加登録後にご連絡いたします。オンライン決済を選択された場合、数日以内にお振込の情報をご連絡いたします。
    • オンライン決済にはぽちPAYを利用したクレジット決済が可能となる予定です。
    • 特定商取引法に基づく表記についてはこちらをご参照ください。
    • 定員になり次第締め切らせていただきますのでご了承ください。
    • 現地では、各講義のあとに、ご自身の言葉で講師に質問することが可能です。

■ 趣旨

今回の夏季大学のテーマは「極端化する気象と災害」です。日本は災害大国といわれます。近年、線状降水帯などによる豪雨災害がこれまでにない規模や頻度で発生しており、その背景には地球温暖化に伴う気象の極端化があると考えられています。一方で、冬季を中心とした大雪による災害もなくなることがありません。また、落雷による被害や林野火災の拡大も記憶に新しいところです。このような多様な気象災害に対して、観測・予測技術の高度化やリスク情報の社会への活用がますます重要になっています。今回の夏季大学では、こうした極端化する気象と災害のメカニズムや観測・予測の最新動向、さらに災害リスクの軽減に向けた取り組みまで、気象学と防災の最前線を産学官の幅広い視点から紹介します。参加者の皆様が、極端気象や災害の現状や背景を科学的に理解し、今後の社会や生活への備えを考えるきっかけとなれば幸いです。

■ 講義プログラム ※講義題目、発表順、発表時間は今後変更になる可能性があります。

◇2025年8月9日(土)10:00~16:30(予定)

  • 「線状降水帯に伴う大雨災害低減のための気象庁の取り組み」 吉田 智(気象庁)
    • 線状降水帯は狭い範囲に激しい降雨をもたらし、場合によっては大きな災害を引き起こすため、その対策は重要課題の一つです。気象庁では気象レーダー等の観測データや数値気象予報モデルを用いて、線状降水帯による大雨の予測を半日程度前から呼びかけるとともに、「顕著な大雨に関する気象情報」を提供しています。本講義では、線状降水帯について概説したのち、気象庁の線状降水帯予測と情報提供の最新の取り組みに加え、短時間予報の精度向上のための近年の技術開発について紹介します。
  • 「集中豪雨と線状降水帯」 廣川 康隆(気象研究所)
    • 近年社会的にも注目されている線状降水帯は集中豪雨の一因であり、土砂災害や洪水などの甚大な被害をもたらす場合があります。本講演では、線状降水帯の名称の由来から、その構造や発生頻度、発生・発達に寄与する気象場の特徴等について紹介します。
  • 「線状降水帯の観測・予測技術の最前線」 佐谷 茜 (気象研究所)
    • 気象庁気象研究所では激甚化する自然災害に対応するため顕著現象のメカニズムの解明や 予測精度の向上に取り組んでいます。本講義では特に線状降水帯の観測・予測技術をテーマに 水蒸気観測やデータ同化、大アンサンブル実験について紹介します。
  • 「積乱雲や雷の観測から探る極端気象」 櫻井 南海子(防災科学技術研究所)
    • 近年、短時間に集中して降る大雨が増えており、それによる浸水や土砂災害などの被害も、ますます深刻化・頻発化しています。この講義では、短時間の激しい雨や雷といった極端な気象がどのように起こるのかをテーマに、気象レーダーなどの観測機器を使った研究について、わかりやすく紹介します。そして、気象災害にどう備えるかを一緒に考えていきます。

◇8月10日(日)10:00~16:30(予定)

  • 「極端降雪をもたらす多様な気象場とその長期変化」 佐藤 友徳(北海道大学)
    • 極端な降雪は、交通障害や物流の遅延、農作物への被害など、さまざまな形で私たちの生活に影響を及ぼす、冬季における重要な大気現象のひとつです。本講義では、過去の事例を振り返りながら、日本周辺において極端降雪を引き起こす大気場や海洋環境の特徴を紹介し、それらの長期的な変化および気候変動との関係について解説します。
  • 「近年の雪氷災害の特徴と対策研究」 中村 一樹(防災科学技術研究所)
    • 局地的な大雪や湿雪の影響の増加に加え、社会経済状況の変化を受け、発生する雪氷災害は変容しつつあります。2022年12月に新潟県で発生した雪氷災害や2024/25冬季に青森県で発生した雪氷災害など、近年の具体的な雪氷災害事例を示し、近年の雪氷災害の特徴を確認します。また、このような近年の雪氷災害の変化の対策のために実施している最新の研究を紹介します。
  • 「林野火災の大規模化の一般的要因と2025年の事例分析」 峠 嘉哉(京都大学)
    • 2025年は日本の太平洋側で多くの大規模林野火災が生じました。気候変動の影響も懸念される中で、その大規模化の要因を理解する必要があります。林野火災が大規模化する一般的な要因を整理すると共に、本年の林野火災事例についての取り組みを紹介します。
  • 「気候変動リスクの可視化と民間利活用の最前線」 北 祐樹(Gaia Vision)
    • 気候変動の影響で、台風や豪雨などの異常気象や自然災害がますます激しくなっています。そうした中、金融機関や企業の間で、将来起こりうるリスクを「見える化」し、対策のためのデータ活用が広がってきています。こうしたニーズは、これまで研究者や気象の専門家が使っていた方法やデータとは異なり、より多様で実用的な視点が求められています。本講演では、そうした変化の実態と、気候変動への民間の対応を加速させるために立ち上げたスタートアップ企業の取り組みについてご紹介します。

オンライン講義受講方法
オンライン講義はZoomウェビナーを利用します。受講にはZoomウェビナーを利用可能な環境が必要となりますので、事前の準備をお願いします。開催アドレスは参加登録いただいた方に個別にご連絡いたします。

過去の夏季大学の様子


■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第58回 2024年7月27・28日 高温・熱波
第57回 2023年8月5・6日 新しい気象学2023
第56回 2022年8月6・7日 気候変動とその影響
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)