「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ (案)」に関する見解 (宇宙政策委員会委員長及び宇宙戦略室長宛の要望)

「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ(案)」に関する見解(2013年2月12日宇宙政策委員会委員長及び宇宙戦略室長宛の要望)を掲載しました。


平成25年2月12日

「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ(案)」に関する見解

 

社団法人日本気象学会理事長 新野 宏

平成25年1月24日、内閣府宇宙政策委員会から「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ(案)」(以下:フォローアップ案)が開示されました。本フォローアップ案では、今般作成された宇宙基本計画(案)(平成25年1月25日宇宙開発戦略本部決定)に基づき平成25年度の予算編成の方針を提言しています。

日本気象学会では、平成24年12月に提示された宇宙基本計画(案)に対して、「宇宙基本計画(案)」に関する見解」として同年12月25日に見解を表明しています。この見解では、地球観測衛星がこれまで果たしてきた多大な成果を評価し、また今後も地球環境の観測に不可欠であるとの認識のもと、今後の地球観測衛星のより積極的な開発・推進を要望しています。

今回開示されましたフォローアップ案では、静止気象衛星業務を「最重要項目」、環境観測衛星のうちの温室効果ガス観測技術衛星GOSAT後継機関連を「重要項目」として挙げられましたが、これまで多大な努力を積みあげてきたその他の様々な地球観測衛星計画が「予算の可能な範囲内で実施すべきもの」あるいは「事業の見直しが必要なもの」とされています。これは私ども日本気象学会の見解とは大きく異なるものです。

衛星開発には多大な労力と大きな予算を必要としますが、それは最先端の技術開発であり、技術立国としての我が国の最新技術の底支えをするものです。さらに、その最先端技術を踏まえて、地球温暖化問題を始めとする地球規模の環境問題の解決と環境政策の立案に寄与することのできる継続的かつ新しいデータを提供することは、先進国の一員として我が国が担うべき責務であり、また世界からの尊敬を得る一つの大きな道でもあります。

地球観測衛星計画が大きな経費を必要とする一方、国の財政が厳しいことは承知しておりますが、本フォローアップ案の慎重なる再検討が必要と考えます。