理事長 竹見哲也
日本気象学会は現在,会員数の減少傾向,大会開催経費の増大,これらに関連した事業収益の赤字体質,運営実務負担の肥大化,支部の運営体制の脆弱化など,将来に向けて多くの問題を抱えています.日本気象学会2025年度総会の議案3の資料に記載の通り,2024年度の財産及び業務執行の監査では,大会開催経費の高騰に対処するための大会参加費値上げなど,財政健全化へ向けた具体的取組みの必要性が強く指摘されています.また,2025年1月30日に開催しました第43期第1回支部長会議では,支部の運営体制に係る諸問題が各支部長より指摘され,支部活動のあり方を検討することは喫緊の課題です.このような学会が抱える諸問題を解決することなしには,当学会が,将来にわたって持続可能な運営体制を維持し,気象学・大気科学に係る学術活動の場であり続けることは困難であると考えます.逆に,気象学への関わりが深い学術分野・団体を取り入れられるように諸問題を解決すれば,当学会を拡大させることもできると言えます.このような問題意識は,私の理事長就任の挨拶でも言及していたところです(竹見 2024).
そこで,学会運営に係る上記の諸問題を解決することを目指し,第43期の残り1年間の任期において,学会運営の将来構想を検討し,第44期で実行できるように議論を集約したいと考えています.このため,企画調整委員会のもとに「学会運営の将来構想検討ワーキンググループ(WG)」を設置することといたしました.本WGの設置が,6月12日に開催された第43期第9回理事会において承認されましたので,お知らせいたします.
WGの主査は,稲津 將理事(北海道大学)が担当いたします.また,主査をサポートするため,副主査を置くこととして,佐藤陽祐会員(大阪大学)に担当していただきます.WGのメンバーは,青栁曉典理事(天気編集担当)(気象庁),石田純一会員(札幌管区気象台),釜江陽一会員(筑波大学),佐藤芳昭会員(気象庁),竹見哲也理事長(京都大学),原田やよい理事(講演企画担当)(気象研究所),廣川康隆会員(気象研究所),中村 尚副理事長(東京大学),そして気象学会事務局となります.理事以外の方々には,企画調整委員会委員として,本WGに参画していただくこととしています.
今後WGでの議論を深めていくことになります.会員の皆さんにも情報共有して,意見も伺いながら,気象学会の将来像を描いて参りたいと思っています.会員の皆さんには是非ともご協力くださいますよう,どうぞよろしくお願いいたします。
参考文献
竹見哲也,2024:第43期理事長就任のご挨拶.天気,71, 393-394.